年末も押し迫った忙しい時期にまた変なものを見つけてしまったんじゃよ・・。
いや、ほんま何回ツッコませるんじゃ・・。
省エネ基準法の改正についての続き。
来年4月から改正される省エネ基準法。
これまでもさんざん紹介してきた省エネ基準の義務化→説明義務化に変わったこと。
その中で、説明義務化に気をとられるあまり、とんでもないものを見落としておった。
それがこれじゃよ。
簡易計算シート「モデル住宅法」。
導入の目的としては
戸建住宅の省エネ性能評価方法の簡素化
○ 説明義務制度の創設に伴い、これまでより簡易に省エネ基準の適否を計算出来る方法を追加。
○ 戸建住宅の評価については、WEBプログラムに加え、手計算で対応できる計算シートを作成。
○ また、これをもとに、具体的な建材の組合せについて例示を可能とする仕組について検討。
実はこれが恐ろしい内容なんじゃ。
何が恐ろしいかを説明していくぞよ。
省エネ適合してても、とんでもない家になる。
まず、国が出してる評価方法の詳細はこちら。
この中の問題点について。
外皮性能基準 部位の面積を計算しない
もういきなりじゃが、省エネ基準を計算するのに、家の部位面積毎の計算をしないと言っておる。
家の性能を決めるのに計算しないでどーすんの?って話じゃが、じゃあどうするのか?
断熱材と開口部の性能値をカタログから選択する
○ 市場に流通している戸建住宅の形態を踏まえ、部位別の面積割合について安全側となる固定値を設定。
○ 外壁、窓等の部位ごとの熱貫流率等を断熱材及び窓のカタログから転記した上で、簡易な四則演算により外皮基準への適否
を判断。
メーカーが決めたカタログの熱貫流率の数字を、断熱材や窓の部位毎に決めた固定値を外壁・床・窓・ドアに合わせて掛けるだけ。
じゃあ、家の中で多数アルミサッシの中で、もし樹脂トリプルサッシを1個だけ使ってて、その数字入れたら余裕で省エネ基準、適合クリアするぞよ。
というのは極端な話じゃが、実際に計算せずに省エネ適合すれば、どーなるか?
当然本来のUa値0.87どころか実測ではそれ以上に家になる。(数字が小さい方が高性能)
暑い寒いは当たり前の世界、住む人の後悔マックスになるのが目に見えてるわけじゃ!(2021.4追記 熱貫流率は悪い方に合わせるようです、あしからず・・)
しかし、法律上は省エネ適合の家。
その一方で、本来の省エネ計算を利用した住宅トップランナー制度、住宅性能表示制度、BELSなどには使用することはできないんじゃよ!
じゃあ、なんのための基準なんじゃ!
こんなふざけたことを国はやろうとしておるんじゃ!
この住宅後進国で、ずっと家の省エネ計算をされてるホームズ君でもこの問題について指摘しているんじゃ。
簡単に言えば、モデル住宅法は幼稚園のお遊戯レベル。
高性能住宅の代表格でもあるパッシブハウスでは、断熱材から窓から換気システムから一つ一つの細かい部位まで計算し、団体で決めた厳しい基準を決めて取り組んでおる。
その一方で、令和の時代になっても、計算出来ない工務店の為に、国が簡易計算シートまで作って、答えはここに書いてますよ。と細かく指示。
考える必要もなく、書いてある通りの事をすればいいだけ。
出来上がるのは後悔するしかない性能の家。
住む人の事など何も考えていない自分たちの手間と国の省エネ目標を誤魔化すためだけの指標。
これで2050年目標が~とかふざけたことを言っておる場合じゃないわい!
パッシブハウスだけでなく、しっかりと施主のために一棟一棟時間をかけて計算しておる全国の高性能住宅を建てておるところへの”冒涜”と言っても過言ではないわ!
とにかく、これから家を買う人はまず工務店に
「省エネ基準の確認はモデル住宅法を使ってますか?」
という確認をとってから話をするようにしましょう。
先に言っておくが、こんなものしか使えないようなとこで、まともな家は建たん。
時間の無駄じゃから他をさがすんじゃ。
おしまいじゃよ。
この度は当ブログにお越し頂き、ありがとうございます。香川で高性能の家を建てることになりました。
興味のある方は末永くお付き合い下さい。