「アルミサッシを使い続ける日本は、“住宅後進国”だ」を読んで確信した住宅業界の矛盾。

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アルミサッシを使い続ける日本は、“住宅後進国”だ

“働き方、生き方と同じように、暮らし方も「ありモノに合わせる」「世間一般のもので我慢する」のではなく、自分の希望に合わせて作りかえればかたづきも良くなり、本当にラクに暮らせます。”

社会派ブロガーとして人気を博すちきりんさんの最新作『徹底的に考えてリノベをしたら、みんなに伝えたくなった50のこと』の一説だ。築20年余りの自宅をリノベーションした様子を、業者の見積もり、助成金申請、工事の過程に至るまで、まさに“徹底的に”書き尽くした一冊となっている。

発刊を記念し、日本の住まいの未来を考えるLIFULL HOME’S総研所長であり、一般社団法人リノベーション住宅推進協議会(現・リノベーション協議会)の設立発起人でもある島原万丈氏を迎えての対談がかなった。住まい事情を知るプロフェッショナルに、ちきりんさんが果敢に体験知を交えて切り込んでいく時間となった。だからこそ、話題は単なる「リノベあるある」に留まらない。現代の日本が「住」に抱える、病理のような問題点も次々に浮かび上がっていく。

もし、これからリノベーションをする、あるいはマンションを買おうとしているなら、この全5回の対談を目を通してからでも遅くない。あなたのプランは、きっと大きく書き換わるはずだ。
(構成/長谷川賢人 写真/疋田千里)

人気ブロガーのちきりんさんとLIFULL HOME’S総研所長の島原さんの対談。

全文はこちらから見れます。

その中で、特に気になったのが、この部分。

新築なのに冬が寒い日本。古いのに冬でも半袖の欧米

島原 リノベーションによる暮らしやすさの改善は大きいですね。ちきりんさんのお家は窓にも全てインナーサッシを入れたそうで。それだけで体感温度も全然違うでしょう?

ちきりん もう全く違います。二重窓の効果は絶大で、冬にわが家へ来た人は、私が薄着すぎるので驚いていました。日当たりもいいので、暖房をつけなくても15℃以下にはほぼ下がらなくなったかな。エアコン暖房やストーブ暖房の苦手な人、高齢者のいるご自宅など、ぜったい二重窓にすべきと思いますよ。

島原 死因ではヒートショックのほうが交通事故よりずっと多いわけですからね。ちきりんさんは海外旅行もよくされるからご存知でしょうけれど、北欧やヨーロッパ諸国の家は冬でも暖かくできていますね。昨年の秋に取材でデンマークの家を訪ねたのですが、10℃を下回る11月頃の夜でも、薄着で暖房をつけなくても十分に家中が暖かく感じました。

ちきりん 日本だと、そういう造りの家って北海道など寒冷地だけですよね。東京だと騒音対策として、交通量が多い幹線道路沿いのマンションくらいかな。

島原 しかも、新しい家で窓はペアガラスでも窓枠がアルミサッシだったり……まだ使っているのは日本ぐらいなものですよ。

ちきりん 先進国としてありえませんよね。アルミは手の温度を伝えてアイスクリームを食べやすくするスプーンがあるくらい熱伝導が良いので、寒い日にはほんとに冷たくなって、外気温を遮断することがまったくできない。

なぜ日本では、未だにアルミサッシが使われているんでしょう? アジアはヨーロッパに比べ湿度が高いので、昔は機密性より風通しが大事だった、それはわかるんです。蒸し暑くてクーラーもない時代なら、あちこちから風の入る「すかすか」の家のほうがいい。でも今は時代が違います。

しかも、同じアジアの中国や韓国でさえ、日本よりサッシの建築基準が厳しいなんて恥ずかしすぎる。中国や韓国は「首都が日本より寒い」から、国の“エラい人”が二重窓の重要性やアルミサッシを使い続ける非効率さを身をもって体験してるんですよね。北京もソウルも冬は北海道レベルの寒さですから。
日本だってもし東京じゃなく札幌が首都だったら、今頃「二重窓、必須」という建築基準になってたかも(笑)。

島原 それに関連して、建築・住宅業界でも2018年末ぐらいに話題になった……というか、大きな議論を読んだ政策決定があります。国土交通省は2020年に住宅の省エネルギー性能を義務化するという方針を出していたんです。それが、業界から反発が出て、見送りになったんです。

反発の理由は、新しい省エネ性能の基準に対応できない業者が半数以上いるからです。新しい基準といっても断熱性能は1999年に出来た基準で、欧米に比べればずっと低い性能のままでした。それで市場が混乱すると……いや、市場は混乱しないだろうと僕は思ったんですが。最低限の基準が揃わず、玉石混交の業者がいるほうがユーザーは混乱するわけですから。

ちきりん それってまさに日本が大好きな「基準を弱者に合わせて消費者に不便を強いる」という構図ですよね。

私、昔は金融業界で働いてたんですけど、当時はATMまで平日の昼間しか動いてなかったんです。その理由も「地方の小さな金融機関のATMが24時間稼働に対応できないから」でした。さきほどのお話と同じで、日本では業界でもっとも力のない会社を守るために競争を阻害する。弱い金融機関がぜんぶ潰れてしまうと、霞が関で働く人たちの天下り先も減っちゃいますし(笑)。

島原 たしかに日本企業の国際競争力のためにも、基準は引き上げたほうがいいんです。しかも、ちゃんと断熱材を入れて、樹脂の二重サッシ、あるいはトリプルサッシを使うと、ちきりんさんがおっしゃったように東京でもほとんど暖房を使わなくてよくなる。2,30年前に建てられた家と比べると、冷暖房にかかわるエネルギー消費量も30%は下がるでしょう。それだけ原子力発電、石油や火力発電への依存も減り、CO2の排出に対しても効果が出てくる。何より毎日の快適性が高まりますし、ヒートショックが少なくなれば医療費も減り、健康寿命だって延びていきますから住む人にメリットが大きい。

ちきりん 私がここまでリノベで断熱や二重窓にこだわったのは、アメリカに住んだ経験や、ヨーロッパに何度も長期滞在した経験があったから。「なんで日本の家はこんなに屋内が寒いのか」ってほんとに不思議だった。冬だからって屋内まであんなに寒いなんて、欧米ではあり得ない

島原 あり得ないです。

ちきりん だけど日本にしか住んだことがないと、「冬でも暖かい家が実現可能だ」ということにさえ気づけない。

島原 ドイツあたりでは「断熱性は人権である」というぐらいの感覚らしいです。日本も一日も早く基準に手を付けたほうが良いことは明らかだけれども、業界を守るというスタンスが日本の住宅業者や霞が関の意志になってしまっていると。

アメリカでは「結露は欠陥住宅だ」

ちきりん 日本はエネルギー資源を輸入に頼ってます。一方、二重窓を作ってるメーカーは日本の会社です。二重窓で暖かい家を実現し、エネルギー消費を減らすのは国益にもかなってると思うんです。

実は今回7社のリノベ会社に個別相談にいき、「内装のおしゃれさより、断熱をしっかりすることのほうが優先順位が高いです」ってはっきり話したんです。ところが半分の会社は、その意味を理解してくれなかった。「断熱ですね、はいはい」って感じで聞き流し、するのは内装材の話ばっかり。断熱の方法や二重窓の機能やコストについてちゃんと説明してくれた会社自体が少なかった。

顧客のリノベ予算が限られている中で断熱や二重窓にコストをかけると、お風呂やキッチンなどのグレードが落ちてしまう。そうすると施工事例として見栄えが劣ってきますよね。そのせいかリノベ業者のほうにさえ「外から見えにくいところでも、住宅の基本性能を上げる部分にこそ、しっかりお金をかけるべき」という発想が欠けていると思いました。

島原 いや、本当に。実は、メーカーとしても樹脂窓はすごく売りたい商材だそうです。以前メーカーの人に「普及の一番の障壁になっているのは何ですか?」と尋ねたことがあるんです。答えは「社内のアルミサッシ部門」でした。製造をやめればいいんでしょうが、コストが若干安価なこともあって新築の供給で使う業者がいるから、と。

ちきりん そうなんだ! 社内部門が抵抗勢力になってたんですね! フィルムカメラ部門がデジタルカメラ部門の足を引っ張るみたいな話か。

島原 社内で競合するそうなんです。

ちきりん でも、やっぱりここは変えないとダメでしょ。他の先進国では「結露するなんて欠陥住宅だ」とさえ言われるくらいなのに。日本なんて、大手のデベロッパー(マンション開発会社)でさえ、「北側の窓は結露するから気をつけて」なんて平気で言う。「そんなもん、売るなよ!」って感じです。

一方で、おしゃれなドイツ製の水洗金具は大々的にアピールする。住宅としての基本性能より見かけを重視するような会社を「業界のリーディングカンパニー」とは呼びたくないです。

やっぱり間違ってなかった私の考え。

TOSTEMの「まずマド。」よりも、「まず日本脱出。」LIXIL会長のとんでも発言の裏で、サッシ業界の闇を発見した。

2019年2月7日

【窓の話】住宅サッシ市場構成比はアルミ80%と樹脂20%。5人に4人が結露する窓を選ぶ国。何だこの国?

2018年6月25日

【ハウスメーカーの話】続・松尾先生から貴重な情報2。結露する窓を使ってるのはどーこだ?ほぼアウトじゃねーか!

2018年6月1日

【窓の話】LIXILから「TOSTEM」復活。窓本来の価値を追求した新しい窓“TOSTEM「LW」”発売。~まだまだ売りたいアルミサッシ~

2018年5月16日

前 真之先生著「エコハウスのウソ【増補改訂版】」買いました③【サッシ業界の闇】

2017年6月12日

ブログを始めた当初から変わってない窓への考え方。

樹脂サッシの敵は身内のアルミサッシ部門。

島原さんの意見でハッキリしました。

日本の住宅の高性能化の足を引っ張っているのは、他でもないメーカー自身。

そんなもん売るなよ。

ちきりんさんも仰ってますが、購入する側は勝手に、日本のメーカーがそんな悪いものを売ってるはずがない。と考えている。

しかし、実際は結露などで健康被害を及ぼすレベル。

世界では販売禁止にすらなっているアルミサッシを、低レベルなハウスメーカーや工務店がいるからと販売する。

これ以上の悪循環があるのだろうか?

サッシ業界全体でアルミサッシを売らないと決定してしまえばいいのではないのか?

やめれば、儲けが減って損をするから?

ならば「これを食べれば確実に健康が損なわれます。」と書いてあれば、商品を購入する人がいるだろうか?

書いてないから売ってもいいのか?

住宅業界の製品はそんなものばかり。

だから、ヒートショックやシックハウスといった問題がなくならない。

だから、購入者は勉強する必要がある。

新築もリノベも目的は一つ。

そこに住む人の幸せ。

何千万もする買い物を業者頼みにしないでください。

おしまい。

有名ブロガー・ちきりんさんのリノべ本はこちら。

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四国は香川県で生まれ、現在も香川県に生息しているオスのペンギン。 名前は、走る姿がペンギンに似ている事(自分では認めてませんが)からの由来。イワトビより皇帝派。 よろしくお願いします。